Earth Bricks / 土プロジェクト

TEKUTO STORIES 001

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Client/ クライアント

研究を開始してから 18 ヶ月(一年半)、天工人独自の素材・工法に共感してくれるクライアントが現れました。

日本の建築基準法の中で「土ブロック」を構造体として利用するためには、いくつかのハードルをクリアしなければなりませんでした。構造形式として組積造を採用することとし、「土ブロック」構造をより効果的に用いるために、より具体的な検証が行われました。

様々なの条件を天工人の設計によってクリアし、いよいよ「土ブロック」による建築が造られることになりました。

 

Process of making earth bricks/ 土ブロック建築の建設

建設プロセスも試行錯誤の連続でした。
土の採取、粒度の分析、適切な配合計画、ブロック製造のための型枠の製作、材料の打設と脱型、温度湿度をにらみながらの養生期間の設定。いずれのプロセスもほぼ初めてのことばかりでした。曲面を構成するブロック造のため、ブロックの形状も何十種類にもわたり、型枠の形状もそれに見合ったパターンを作らなければなりません。

天工人のスタッフもプロの職人さんたちと共に泊り込みで現場に通い、「土ブロック」をつくり、積み上げていきました。クライアントも共に施工に参加していただくことになりました。

 

the art of architecture / 技術・職人

建築は総合芸術です。私たちは、構造体だけではなく、建築の随所に建築的な様々な工夫を凝らしています。

屋根は鉄骨と木造のハイブリッドとし複雑な形状をシンプルな架構で覆いました。頂部には自然換気システムも設置しています。
土ブロック構造体と屋根の間は、スチール・フラットバーの臥梁を設けた上に、その間を半透明の「ガラスレンガ」としました。屋根際から間接照明が内外をやわらかく照らし上げます。
水周り(キッチン・浴室)を構成しているのは LVL という木質パネル。
床とキッチンカウンターは人造大理石研ぎ出し仕上げ。左官職人の技量がこめられています。

 

“Earth Bricks” completion/ アースブリックス竣工

土による構造体の研究を始めてから約3 年の月日が経ちました。
研究機関、民間企業、工事に直接関わった職人たち、天工人スタッフ、クライアント。多岐に渡る人たちの協力を経て、土による構造体を使った建築「Earth Bricks」が竣工を迎えました。

竣工後も、土ブロックの経年変化の観察、室内環境のデータ収集など、今後のフィードバックへ向けた情報収集・研究を続けています。

また2015 年には厳格な審査を経て、土による構造体の特許を取得することができました。

「Earth Bricks」のページはこちら

Next step / 復興へ向けて

「Earth Bricks」の工事が進んでいる最中、2011 年 3 月 11 日に東日本大震災は起こりました。
東北の沿岸地域を巨大な津波が襲い、ありとあらゆるものを奪い去っていきました。そこに残されたのは、見るも無残な残骸と、海水によって塩分を含んだ「土」でした。

「土ブロック」には海水由来の酸化マグネシウムを配合します。津波によって塩分を含んでしまった土は農地としては使えませんが、「土ブロック」であれば有効活用することができます。

私たちは「土ブロック」構造体のノウハウを活用し、復興支援の一環として、いくつかの場所で「土ブロック」製作を行うことになりました。

>「復興支援プロジェクト」へ続く

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