復興支援 Disaster Recovery Support

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かまいし未来のまちプロジェクト

釜石市は未来に向けて再び輝きを取り戻すために、建築家の伊東豊雄氏を中心として「釜石市復興ディレクター」を任命し、復興計画を進めることになりました。伊東氏は良質な建築家が持ち合わせている市民への共感力と未来を見据えた計画の構想・実現力を、復興に活かすべきだと考えたのです。

具体的な計画として「かまいし未来のまちプロジェクト」をつくりました。大きな枠組みをつくる行政と、個々の事情を抱える市民一人ひとりの間に建築家が立ち、双方の翻訳者として、ファシリテーターとしての役割が求められました。「かまいし未来のまちプロジェクト」は、みんなが戻りたくなる、訪れたくなるような、未来に向けた活力に満ちた釜石の復興を成し遂げていくためのプロジェクトです。

 

復興公営住宅プロポーザル

「かまいし未来のまちプロジェクト」の元で、複数のプロポーザルが行われました。第2弾となる「釜石市災害復興公営住宅(小白浜地区)基本設計及び実施設計業務委託プロポーザル」において最優秀賞を獲得させていただきました。

提案の一番の骨子は「地元の低層の切妻屋根住宅が立ち並ぶ風景を読み取り、コミュニティを三次元的に再生する」というコンセプトでした。

 

コミュニティを紡ぐ

周辺の集落の家並み・景観を読みとき、デザインモチーフとしました。コミュニティ形成のための大・中・小のコミュニティスペースを設けました。

1階には集会所など地域に開かれた大きなコモンスペース、共用廊下は広く取り、中くらいのコミュニティスペースとしました。住戸間には隣近所の人たちが気取らない日常の付き合いができる小さなふれあいの場が設けられます。

 

ワークショップ

計画案が2013年1月に選ばれて以来、地元の将来入居予定の住民の皆さんと計3回のワークショップを行いました。

2回目のワークショップでは、2タイプの住居ユニットの実物大のモックアップをダンボールで製作しました。住民のみなさんは、実物大の自分達の「未来の家」を実際に体験してくださり、とても有益で詳細にわたるご意見を多くいただきました。3回目のワークショップの後には、地元の住民の方々が三陸の海の幸を用意して下さり、食を堪能しながら、交流を深めることができました。

 

資材・人件費の高騰

2013年10月の実施設計完了後、施工会社を決める入札の段階となりました。しかし、入札に手を上げる施工業者がいないという事態に直面しました。

震災から2年以上経過し、復興の槌音も高くなってきた時期でした。その結果、資材費・人件費が高騰することになったのです。

釜石市としては、復興公営住宅を一刻も早く建設してもらいたいという市民の声に応えるために、建設事業の枠組自体を変更せざるをえなくなりました。

 

デザインビルド

私たちが設計を終えた小白浜地区の公営住宅は、設計+施工をハウスが担当することになりました。積水ハウスは、奥行の広いバルコニー、ところどころに滞留スペースのある共同廊下、近隣住民を含めた交流の場など、私たちと小白浜・釜石市のみなさんとで作り上げた計画をベースとしてこれまでの標準仕様にはない特別な設計・施工を行ってくれました。

 

竣工

2015年7月、コンペから3年の月日を経て、小白浜の集落に復興公営住宅が竣工しました。震災からは4年が経過しました。釜石市をはじめとする各方面の皆様の尽力により、本公営住宅が実現することになりました。

20戸の公営住宅に加え、3戸の小規模公営住宅も併設されました。海に開けた路地のような居場所/小さなコミュニティも実現しています。

 

 

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