SHIRASU / シラスプロジェクト

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Social Background/ 社会背景

普段私たちが接している建築物の多くがコンクリートで作られています。コンクリートの歴史は実は古く、ローマ時代の神殿「パンテオン」には現代コンクリートの原型とも言える素材が用いられていました。それは「ローマン・コンクリート」と呼ばれ、火山灰を主成分とした耐久性の高いコンクリートでした。

現代のコンクリートは、セメント、砂、砂利、水からできています。一見、人工的に見える素材ですが、元をただせばすべて限りある天然資源からできているのです。限りある資源をより有効に使うための「知恵」が21世紀を生きる私たちに求められています。

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Current Situation of Concrete-1 / コンクリートの現状-1

20世紀の建築を支えてきたコンクリートの生産量は、経済成長と共に右肩上がりで増えてきました。

コンクリートの主成分であるセメントの生産量も、今後増え続けることが予想され、資源の消費量も倍増することが想定されます。セメントは天然の石灰岩などを「焼く」ことで作られます。1450度の高温で焼成するため、大量の熱源を必要とし、結果として膨大な量のCO2が排出されています。

 

 

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Current Situation of Concrete-2 / コンクリートの現状-2

コンクリートの骨材となる砂利や砂は、天然の資源です。高度経済成長期の頃までは川原や山から採取される砂利や砂を使ってきましたが、良質な資源は枯渇の一途をたどっています。

そのため、良質な砂利や砂の代わりに海岸などから採取される「海砂」が用いられましたが、「海砂」には海水由来の塩化物が多く含まれていて、コンクリートの中の鉄筋のさびの進行を促してしまうだけでなく、コンクリート自体の劣化も早めてしまいます。また、「海砂」の採取は海底の環境を悪化させるため、現在ではほとんどの自治体で採取を規制しています。

現代の建築に欠くことのできないコンクリート産業において、砂・砂利に代わる未利用資源の利活用、コンクリートのリサイクルプロセスの形成、長寿命・多機能コンクリートの開発が課題とされています。

そこで考えられたのが火山由来の「シラス」の活用です。

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