柏崎市新市民会館(計画案)

CONCEPT
<潜在的植生による“杜”>
柏崎市は常緑広葉樹林帯と夏緑広葉樹林帯の境界に位置する稀な地域であり、双方の自然植生をバランスよく導入した。太古の森にもっと最も近く、人の干渉がなくなった未来の姿でもあるタブ林やブナ林。人の営みと共に生まれ、今は病虫害によって失われつつあるアカマツ林やミズナラ林。人の手によって育てられてきた里山に見られるコナラ林。懐かしい水辺の景観であるヨシ、ハンノキ林、ヤナギ林。敷地の中を歩けば、柏崎の自然のさまざまな姿を身近に感じることができる。
■配置計画のプロセス
植生が海岸線と平行に形成されていることに着目した。採用した植生を仮配置すると、乾いた土を好む植生が土地を盛り上げる。風向き、景色を考慮した植生を計画し、夏風を涼しくする水辺を挿入する。
植生に合わせ、建築が生成する。その建物形状に合わせて、水辺を分散配置する。
■建物形状の決定
植生の配置をできるだけ妨げないように曲線で切り取り、枝珊瑚の触手に近い先端が人とモノの動線になっている。多面体の屋根の形は融雪装置となる浅い沼に滑り落ちるように計画されている。建物を包み込む樹木は風、熱、音などの諸環境から人を守り、安らぎを与え、五感を刺激する。
<環境と周辺地域への配慮>
本計画における植生計画は、CO2削減と周辺地域に配慮した計画がなされており、パッシブエネルギーも有効に活用できるように配置している。
冬は日本海から吹く風に対して、防風林としてのアカマツ、タブを植える。夏には、山側から吹く風が、ヨシが茂る浅い沼を通り過ぎ、冷涼な風が室内に吹き渡る。大開口の前の落葉広葉樹は、夏の強い日差しを遮り、冬場には暖かな陽光を室内に届ける。フライタワーは防風効果もあり、周辺の常緑樹は防音植栽として機能する。
<ホールの考え方>
ホールの配置は鉄道軌道から近い距離にあるため、植生とのバランスを図り北側に寄せている。実施時には現地の固体音の測定を行い、基礎外周に防振マットを打ち込むことも視野に入れている。
多目的ホールとしての機能は、“吸音カーテン”“回転反射板”等の可変機構を導入し、各種の公演に合わせて最適な音響になるよう計画している。
ホールとリハーサル室との同時使用も積極的にできるように各諸室の音を考慮して、リハーサル室は浮き構造にすることで防音機能を高め、施設全体の利用率向上が図れる計画としている。
<市民と一緒に“つくり、育てる”市民会館>
この市民会館では、特定のホール使用時のみに人が集まるものではなく、“杜”全体に賑わいが常に発生するように市民による様々なイベントをワークショップにより決めていきたい。
<イニシャル、ランニングコスト低減の試み>
(1)構造体によるコストの低減
鉄骨造+コンクリート造かつ外断熱通気工法+タイル張りの採用。曲面は直線の連続体(HPシェル)として考慮する。
(2)設備・環境設計によるコストの削減
基本的に「CASBEE  S」の明確化を目指し、パッシブエネルギーを積極的に活用する。
(雨水利用/深夜電力/氷蓄熱/融雪装置/廃熱利用 等)
用途に合わせたエリアの区分と個別空調をバランスよく配置。

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竣工2008(設計プロポーザル)
所在地新潟県柏崎市
建築用途市民会館
敷地面積30000m2
建築面積4866m2
延床面積7500m2
意匠設計山下保博/アトリエ・天工人

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