ヒダマリテラス

集まって住むということ

この建築の用途はコーポラティブハウスである。12世帯の住人が計画の初期の段階から加わり、スケルトン(仕上げていない構造体のみの状態)以外の仕様や運営の仕方をコーディネート役や設計者と共に作り上げていく方式である。通常のマンションと異なる点は、建つ前から住人の顔が見え、一年以上にわたり生活の仕組みを一緒に作り上げることで、お互いの家族構成や性格や趣向が見えることである。この仕組みに興味を持つ住人は、基本的には人との関係を築きたいと望んでいることから、協調性のある人が多く、お互いの距離感を最初から構築できる。住んでからは、防犯的な見守りが出来るという利点もある。

20年以前の集合住宅の特徴としては、お互いの顔が見えないことが気楽であり、自由であると喜ばれていた。しかし、今の30代や40代前半の世代は、兄弟の数が少なく親戚との関係も希薄な場合も多く、人との関係を緩やかに築いていくことに興味を持つ人々が少しづつ増えている。それは、大きなコミュニティには興味が薄いが、小さなコミュニティの中での安全と安心を得ることへの興味だと思われる。

この「ヒダマリテラス」は、大井町駅から歩いて10分ぐらいのところにある変形旗竿の形をしており、南側に墓地がある決して条件の良い場所ではなかった。計画に際し注意した点は、長屋形式による住戸間の個別性の確保、それぞれの住戸からの光と風の抜け、墓地に対しての視線の配慮であった。設計として高度な解答を求められたり、様々な段階で苦労したことも多かったが、住まう人々と施工会社に助けられ竣工に至った。これまでの話し合いにより現実化したお互いの良い距離感を維持し、自然に気持ちよく住めることを望んでいる。

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竣工2016
所在地東京都品川区
建築用途長屋(12 戸)
敷地面積658.85㎡
建築面積392.11㎡
延床面積956.51㎡
構造壁式RC造
階数地上 3 階
意匠設計山下保博 x (水上健二 + 寺嶋利治+ アトリエ・天工人)
構造設計本岡淳一 / 本岡淳一構造設計事務所
設備設計電気設計:遠藤和広 + 杉山容子 / EOS plus 機械設計:山田浩幸+佐藤智美/YMO
協力企業内装設計:倉水恵・荒俣真琴・渡邊美帆・赤尾あずさ/アトリエ・天工人OG プロデュース:織山和久 + 大原智史 / アーキネット
施工管理菊嶋秀生 + 木村陽一 / キクシマ

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