R・トルソ・C

この住宅は東京の中心にあり敷地面積66㎡と小さい。クライアントのご夫婦は化学者でありながら、建築やアートが好きである。最初のリクエストは「コンクリートで内外部を包み込んでほしい。そして、そのコンクリートが挑戦的であり、環境的であってほしい」であった。その言葉を手掛かりに様々なリサーチをスタートし、二年半の歳月を経て完成に至った。

  • 自然と環境に寄り添う建築のあり方

東京都心において広大な自然を感じられる場所は「空」しか残っていない。その自然とつながるために、矩形の建物のコーナーを欠き取ることで室内の広がり感を確保している。また、快適な熱環境であるために、環境エンジニアによる「循環する熱システム」を採用した。

  • 環境型シラスコンクリートの開発

その内容は、砂の代わりに日本の南側で多く採取できる火砕流堆積物「シラス」を入れ、完全リサイクル可能なコンクリートとして開発した。その特徴は、ポゾラン反応という化学反応があるために強度が増し続けること、シラスの粒度が細かいことから密実で中性化しにくいこと、シラスに独立気泡があるため調湿、消臭効果があることである。この開発は採取地に莫大な資産を生み出すプロジェクトとも成り得る。

  • 平面的思考から断面的思考へ

狭小敷地での建築の作り方は断面的思考が適切だと思う。地下は防音性に優れた音楽室、1階はゆったりとしたギャラリーと和室。2階は機能性を優先し、LDKと水回りがある。面積は狭いが5mの天井高さがあり、光が十分に入ることで全てのスペースは開放性が高い。様々な三次元の模型の検討からこの空間は導き出された。

主な受賞

2016年 日本コンクリート工学会賞、作品賞
2016年 WAN Concrete Award ファイナリスト

掲載雑誌

『住宅特集』 新建築 創刊30周年 2015年6月号 p36-45
designboom
【海外】
『MARK』 No.60 2016 Feb-Mar(オランダ) P34-35
【海外】
『Design Your Lifestyle』 2016年3月号 (韓国) p130-135
『Fole』 2016年7月号 みずほ総合研究所 p18-19
METROPOLIS
【海外】『Concrete International Engineering』 2016年8月号 (英国) p26-27
『AXIS』 2016年12月号 Vol.184  特集「素材と向き合う」 p58-63
「JIA建築年鑑2016』
【海外】『AREA』 vol.151  2017 April (イタリア)p.048-057

TV番組

『渡辺篤史の建もの探訪』(テレビ朝日)『世界初 環境型コンクリートの家』
「Trending in Tokyo」(アメリカ)

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竣工2015/04
所在地東京都渋谷区
建築用途専用住宅
敷地面積66.67㎡
建築面積31.21㎡
延床面積103.74㎡
構造RC造(耐震壁付ラーメン構造)
階数地下1階+地上3階
意匠設計山下保博/アトリエ・天工人 <水上健二、友寄篤>
構造設計佐藤淳+井上健一/佐藤淳構造設計事務所
設備設計山田浩幸/YMO
協力大学野口貴文/東京大学
協力企業伊藤司/東京エスオーシー(生コン製造)、東和郎/プリンシプル(シラス製造)、マインドスケープ(外構・造園)、朝倉ポンプ(設備)、宮本電機工業(電気)
施工管理松岡茂樹+中出修一+北岡翼/ホームビルダー
写真撮影Jérémie Souteyrat、傍島利浩

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胡桃の舎

R・トルソ・C

聚光 (改修)