奄美空港から徒歩10分、メインの道路から一本入った、雑木林を切り開いた静かで平らな840坪の土地に16棟の独立したコンテナ型宿泊施設が企画された。その一部はオーナー会社の社員寮としても利用される。
そのコンテナハウスでのミニマムな生活を補完するために、敷地中心に宿泊客も社員も共有する集会の場としてのメイン棟が必要となった。
そこで我々は全体の配置及びメイン棟の設計を行うこととなった。
真っ白で無機質、利便性重視で場所との関係性が希薄なコンテナハウスに対して、メイン棟は住民や宿泊客が奄美大島に滞在する場として、奄美の伝統的な家屋のつくりを参照し、その構造を現代的に再解釈したものとなった。
基礎から屋根まで柱勝ちを基本とし、梁はその間に、或いは柱を挟み込むように配され、湿気防止のべた基礎以外の立ち上がりは坪基礎とし、奄美の強風に対応した床下の空気の流れを妨げない造りとなっている。
道路側は事務室やトイレを配し壁で閉じられた空間としたが、共有部は扇状に配された白いコンテナに向かって半分以上がガラス面となり、非常に高い開放性を有する。
建物の中心にある2本の150mm角の大黒柱は枝珊瑚のように四方八方に頬杖を伸ばし、長スパンの登り梁をサポートしつつ、水平剛性も負担している。
勾配の浅い、超スパンの登り梁は外部に片持ち2.7mの軒下空間を作り、大きなウッドデッキが内外の広がりを強調する。
デッキに四面を囲まれた、伝統的な奄美のヒキモン構造を模した現代的で開放性の高いデザインを中心に、1つの集落のような賑わいがこの場所に生まれることを期待する。