伝泊・小松 [改修]

 

伝泊小松のある、石川県小松市大杉町は、その名前のごとく、かつては多くの固有の杉を産出し、林業で栄えた集落でしたが、500世帯以上あった集落は今は30世帯ほどに減少している現状で、空き家問題も深刻な問題となっています。

そんな中、2019年ごろから奄美群島での伝泊の取り組みが知られるようになり、 全国の様々な地域・団体から取材や講演依頼、まちづくりに関する相談がくるようになりました。

その中でも地方行政と建築関係者からの強い要望を受け、実際に山下が足を運んだのが石川県小松市でした。

その豊かな自然の中で江戸時代後期からこの地に佇む2軒の古民家は、廃れてはいたものの厳かで、「なんとか美しい形に戻して欲しい」と訴えかけたのでした。

その後2021年4月に、伝泊の初の全国展開の場として、文化体験型宿泊施設「伝泊 小松」はオープンし、現在運営を行っています。

2棟の宿はそれぞれに特徴があり、大樹に囲まれた苔むす庭に佇む、大杉谷川に佇む囲炉裏の宿(旧下里家)は、
江戸時代に庄屋をつとめた旧家の家屋で、切妻桟瓦葺きの大屋根や、囲炉裏上部に天井を張らず井桁で組まれたサシモン構造など、加賀地方上層農家の形式を残す古民家を、その時間のうつろいも感じられるよう、改修を施しています。

1棟貸しの心酌み交わす潤いの宿(旧前家家)は、大人の秘密基地をコンセプトとする宿です。昔は「オエ」と呼ばれていた「広間」を、食事場所としてご利用いただけます。奥の12畳の和室から続く裏庭のテラスからは、綺麗な水路が眺められ、森林に包まれてゆっくりと寛ぐことができます。

今後「伝泊 小松」は、手付かずの自然が残る小松市大杉町の地に根付く「伝統工芸・空間」と「里山の食文化」の魅力を掘り起こし、観光客・集落住民が集うコミュニティーを作る地域活性を目指していきたいと考えています。

 

プロジェクトの詳細は山下保博 公式HPの「伝泊 小松 プロジェクト」をご覧ください。

人がいなくなると自然はこんなにもよみがえる 「伝泊 小松」プロジェクト
https://yamashita-yasuhiro.net/archives/24435

 

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竣工2020年 6月中旬
所在地石川家小松市大杉
建築用途宿泊施設、工芸ギャラリー
延床面積427.33㎡(下里家)、147.10㎡(前家家)
階数地上2階(下里家、前家家とも)
意匠設計アトリエ・天工人 x 浦建築研究所
施工管理松浦建設株式会社

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