2011年の東日本大震災を受けて、津波の被害の甚大だった釜石市では、復興公営住宅のコンペを行いました。TeMaLiアーキテクツ(アトリエ・天工人+Ma建築設計事務所+ライフアンドシェルター社)は最優秀賞を獲得しました。
私たちは、津波で失われた家を再建するというだけでなく、地元の低層の切妻屋根住宅の立ち並ぶ風景を念頭において、コミュニティを三次元的に再生するというデザインコンセプトの基に設計を展開しました。
敷地には、保存がきまっている築90年の石蔵があり、その切妻屋根がデザインモチーフとなりました。私たちは、3つの異なる大きさの「コミュニティ」を設けました。「大きなコミュニティ」には、1階のコミュニティ・センターが設けられます。「中ぐらいのコミュニティ」には、共用屋外廊下のところどころに、廊下幅を広げて設けられた小さな集会スペースが設けられています。最後に「小さなコミュニティ」では、住居ユニットの間に、隣近所の人たちが気取らない日常の付き合いができる小さなふれあいの場が設けられます。
私たちの計画案が2013年1月に選ばれて以来、地元の将来入居予定の住民の皆さんと2回のワークショップを行いました。2回目のワークショップでは、2タイプの住居ユニットの実物大のモックアップをダンボールで製作しました。住民のみなさんは、実物大の自分達の「未来の家」を実際に体験してくださり、とても有益で詳細にわたるご意見を多くいただきました。
このようなコミュニティの住民のみなさんとのやりとりを通じて、この社会の未来にとって意義のある建築をつくりたいと願っています。
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LEAF Awards 2013 最優秀賞受賞(未来の建築計画部門)
所在地 | 岩手県釜石市 |
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建築用途 | 公営住宅 |
延床面積 | 2200㎡ |
意匠設計 | TeMaLi アーキテクツ (山下保博/アトリエ・天工人+水上健二/Ma建築設計事務所+松野勉/ライフアンドシェルター社) |
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