空を切りとる家

山下保博 x アトリエ・天工人

この住宅は東京の青山に位置し、敷地内に2.7Mの高低差があり、西側1階と南側地下1階にアプローチできる多角形の敷地である。クライアントの要望は、地下は駐車場と駐輪場と書斎、1階は玄関と水廻りと主寝室、2階はLDK、ロフト階は子供室であった。この段差を持つ敷地は、道路幅も狭く非常に施工が困難であったが、時間を掛けて創り込み、クライアントの満足度は非常に高い。

この住宅のテーマは「空の切り取り方」にある。

今までに郊外型の多面体として「Ref-ring」「Yachiyo」、都市型の多面体として「チカニウマルコウブツ」「白いてんとう虫」「モノクリニック」を創ってきた。この一連の多面体の住宅の中で試行錯誤してきたことを振り返ると、自然と人間の関係性をどう構築するか、その境界線や距離をどう考えるかであった。そこから見えてきたことは、都市の中において壁の窓以上に重要な開口は、空に開くトップライトではないかと思い至った。言い換えるならば、都市にはまだ空という自然が残っているとも言える。道路斜線をクリアし、ガラスや窓枠の製作最大寸法と搬入最大寸法を検討する中で形や大きさが決定していった。計画中に南側に5階建ての集合住宅が建ち、ガラスを半透明にしたことで視線は遮られた。しかし、このトップライトの下に立つと、たくさんの光を浴びることで自然と一体になる感覚を覚えてくる。

掲載雑誌

Casa BRUTUS (マガジンハウスムック 特別編集)

スタイルのある家をつくる方法 (エクスナレッジムック)

>> 一覧に戻る

竣工2013/9
所在地東京都港区
建築用途専用住宅
敷地面積69.15m2(20.91坪)
建築面積38.72m2(11.71坪)
延床面積77.44m2(23.42坪)
構造RC造(地下)+S造
階数地下1階地上2階
意匠設計山下保博、石井あずさ/アトリエ・天工人
構造設計佐藤淳、都筑碧/佐藤淳構造設計事務所
施工管理渡井孝浩/日祥工業
写真撮影SOBAJIMA, Toshihiro

関連の実績

アース・ブリックス

セル・ブリック

本箱ブレース アパートメント

Twin megaphones

わっか

YA-CHI-YO

松島の望楼

グリュックス・ガルテン

椎木舎

浮床

Magritte’s

聚光 (改修)