昨年あるテレビ番組内で放映されてから、アトリエ・天工人で進める土プロジェクトは様々な反響を呼び、それは良い反応からインターネット上での理由のない誹謗中傷まで様々です。弊社は、建築を通じて社会をデザインする事を真摯に考えています。企業や大学と研究を重ね、土ブロックによる構造体を作り上げてきました。世界で初めての試みであるため、現時点では100%完成したものであるとは考えておりません。それを補うためにクライアントの理解や、様々な実験を繰り返してきました。世界の構造物の約6割が、土で出来ている現状がある中で、耐震基準の厳しい日本で開発を行い、それを世界に発信し、身近にある土で出来た建築でも、生命を落とす事が無いようにする事がプロジェクトの目的です。
そのようなプロジェクトの主旨に賛同して頂き、土プロジェクトは東北を始め、各地で広がり始めています。一緒に作り上げている関係者やボランティアの方々に対する非難や中傷は止めて下さい。何かあれば直接アトリエ・天工人までご連絡をお願い致します。
引き続き皆様のご理解を頂ければ幸いです。
以下、現状での土プロジェクトに対する指摘の全てに対してではありませんが、下記の様に弊社として回答します。
それ以外の内容についても、順次回答していきます。
■関連法規違反との指摘について
建築基準法施行令52条に「2 組積材は、その目地塗り面の全部にモルタルが行きわたるように組積しなければならない 3 前項のモルタルは、セメントモルタルでセメントと砂との容積比が1対3のもの若しくはこれと同等以上の強度を有するもの又は・・・(略)」とあります。関連する行政機関に確認をしておりますが、同等以上の強度を有するものであれば、セメントモルタル以外でも構わないとの回答を頂いております。条文の中の「若しくは」の解釈による誤解が原因だと思われますが、弊社による一方的な解釈や違法な工法ではありません。
■JIS規格違反との指摘について
建築基準法37条には『建築物の基礎、主要構造部、その他安全上・・・(略)政令で定める部分に使用する木材、コンクリートその他建築材料として国土交通省が定めるもの(以下この条において「指定建築材料」という)は次の各号の一に該当するものでなければならない。 一その品質が、指定建築材料ごとに国土交通大臣の指定する日本工業規格又は日本農林規格に適合するもの 二・・・(略)』とあります。それに関して平成12年の告示1446号に指定建築材料に関する規定があり、そこにはコンクリートブロックは日本工業規格に従う様に定められていますが、土ブロックその他のブロックについては、定められておりません。
告示1446号は、大量生産される工業製品についての品質管理が目的と考えられ、組積造で使われる石材等については対象外です。土ブロックはコンクリートブロックと違い未だ技術展開がそこまで至っていないため、事前に材料を採取して、粒度分布の試験を行い、試験体を作り、硬化するかどうかの確認を行い、配合を検討しています。実際の各地での施工に際しても、そのためにアトリエ・天工人からスタッフが行き、積み上げ前に全てのブロックを確認しています。