Social Background/ 社会背景
1900 年代初頭から始まる近代建築の世界では、鉄、ガラス、コンクリートの量産を技術的ベースとして、世界中いたるところでも同じ技術、同じ素材による建築物があまねく広がりました。
それは、衛生的で快適な暮らしの場を大量に市民に供給する必要のあった時代には必要なプロセスでした。その一方で、先進的な都市のみならず地方の街でも、同じように均一な風景が広がる結果ともなっています。
また、鉄やガラス、コンクリートを製造するためには、膨大なエネルギーを必要としてきました。
限られた地球資源、環境改善への世界的な意識改革、各種分野間における様々な試みが必要とされています。
私たち建築の世界でも、建築生産の仕組みそのものに抜本的な方向転換が必要であろうと考えました。
Why earth?/ なぜ土なのか?
40 億年前に地球上に生命が生まれ、生物の亡骸と鉱物の粒が混じり土ができてきました。様々な生命を土が育ててきました。
また人類が誕生して以降、古来の昔から、身の回りにある素材を使って、自らの手で、自分たちの家を作ってきました。使う素材は、木であることもあれば、石のこともありました。
なかでも土は、世界中の至る所に存在し、資源枯渇の心配がありません。廃棄する場合も、環境に対する害がなく、そのまま大地に還元することが可能です。
そこで私たちは、土に自然由来の添加物を混和するだけで作れる土をベースとした建設素材を開発することを思い立ちました。
「土+自然添加物」による循環型建築生産モデルの構築と、国内外の災害時における建設技術開発および在来土建築物の仕様向上を目指して、研究を始めることにしました。