アトリエ・天工人4本の柱

介護される人が本当に幸せな、
地域活性につながる高齢者施設

背景

日本は世界で最も高齢化率が高く、その受け皿となる福祉施設の整備が急務です。近年は、グループホームのような高齢者施設ではなく、高齢者が地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができる、住まい・医療・介護・予防・生活支援が提供される地域包括ケアシステムの構築が求められています。
天工人は高齢者施設・福祉施設の研究を重ね、地域包括ケア的施設を観光客を含むまちづくりの中に組み込む方法を探求してきました。それは、高齢化だけでなく、人口減少に悩む地域の創生や空き家問題の解消など、日本が抱える複数の課題に総合的に向き合う取り組みです。

現代の日本の課題

実践例

まーぐん広場 赤木名「福祉」「観光」「地域」のまちづくり

天工人が考える、地域包括ケア的高齢者施設を含むまちづくりの実践例が、鹿児島県奄美市で2018年にオープンした「まーぐん広場・赤木名」です。廃業して空き家となっていたスーパーマーケットを改修し、1階に高齢者施設「赤木名の家」「いのべ・赤木名」(有料老人ホームとデイサービス)、カフェ・レストラン、地域物産マーケット、ギャラリー、2階にホテルがあり、高齢者を含む地域住民と観光客が交流できる拠点となっています。周囲には空き家となっていた伝統的古民家を改修した宿泊施設「伝泊(でんぱく)」もあり、「まーぐん広場」と共に地域活性に貢献しています。 この施設の構想から実現までは、天工人STORY「伝泊+まーぐん広場・赤木名」をご覧ください。

介護される「人」が中心の施設

まちづくりとの連携だけでなく、ハードとしての高齢者施設の設計においても、有識者や介護の専門家の知見を取り入れ、実践を重ねてきました。これまでの高齢者施設は施設や医療の都合に合わせた介護を念頭に置いていましたが、天工人は介護を受ける「人」に寄り添う施設設計を実践しています。
個々のクライアントの要望を丁寧にヒアリングし、敷地や地域に合った施設づくりを一緒に行っていきます。

1. 愛着のわく「おうち」らしい温かみ

赤木名の家
赤木名の家
ひらやまのおうち
ひらやまのおうち

施設にとっての管理のしやすさを優先した病院のような建築ではなく、日本のお年寄りが愛着をもって我が家のようにくつろげる施設を提案しています。

2. 自然光あふれる快適な屋内空間

赤木名の家
赤木名の家
ひらやまのおうち
ひらやまのおうち

お年寄りにも介護をする人にも快適な、様々な方向から光が入る空間です。個室だけでなく通路となる共用部分にも畳を敷き、そこで寝そべりたいお年寄りがいれば、介護スタッフが隣に寄り添うことができます。

3. 自宅のようにくつろげる浴室

ひらやまのおうち
ひらやまのおうち
ひらやまのおうち(左、右)

多くの介護施設では入浴装置があることが普通ですが、「ひらやまのおうち」の介護スタッフは訓練を積み、装置に頼らずお年寄りの入浴介助を行うスキルを身につけています。そのため、まるで自宅で入浴しているようなヒノキ風呂の浴室と、洋風バスタブの浴室と、お年寄りのその日の気分で選んでいただける2種類の浴室を設置しています。

4. 地域との交流をうながす場所づくり

地域伝統の「八月踊り」(まーぐん広場・赤木名)
音楽療法(まーぐん広場・赤木名)
放課後に子どもたちが集まる(まーぐん広場・赤木名)
気軽に立ち寄れる空間(ひらやまのおうち)
フリーマーケット(まーぐん広場・赤木名)
手作りワークショップ(まーぐん広場・赤木名)

お年寄りが日々楽しく過ごせるよう、施設内でイベントを開催したり、地域の人や子どもたちが気軽に立ち寄ったりできる空間づくりも大切です。
「赤木名の家」の入る複合施設「まーぐん広場・赤木名」では、定期的にフリーマーケットや音楽療法、集落のお祭りなどのイベントが開催され、お年寄りが地域の人々や子どもたちと気軽に交流することができます。

建築実例

“Den-Paku”+ Ma-gun Plaza, Akakina

Denpaku + Magun
Hotel & Community Plaza

高齢者のすまい研究会