コンクリートという素材について

K邸最初のブログで書いたプレゼンテーションの最後に、クライアントから新たな要望が出ました。それは「山下さんにとって何か意味のあるプロジェクトにして欲しい」という内容でした。アトリエ・天工人ではこれまで素材や構法について様々なプロジェクトを立ちあげてきました。このK邸は元々あったプロジェクトにクライアントが賛同してくれたという流れでは無く、クライアントと共にプロジェクトを作るという所から始まり、それがどのような方向に進むのかも模索しながら基本設計は進んでいました。何回目かの打合せ時にクライアントがコンクリートの質感が好きであり、建築としてパンテオンが好きであることという事が分かりました。

そこから、コンクリートについて、何か新しいものを作るというプロジェクトの骨格が見え、クライアントの職業も化学に関連しているということもあったので、「コンクリートを化学する」というテーマが見出されました。100年以上前に発見された鉄筋コンクリートは技術として近代建築の発展を大いに支えましたが、現代においても材料としてのコンクリートは基本的には大きくは変わっていません。プレキャストやプレストレストなどは天工人でもこれまで設計してきましたが、「化学する」というキーワードの下で、素材としてのコンクリートを探求するプロジェクトとともに設計が進んでいます。